アンコールはリビングで
今年のバレンタイン、彼がくれたあの夢のような一日の「お返し」をどうするか。

この一ヶ月間、私は仕事の合間を縫っては、彼の顔を思い浮かべて街を歩き回った。

時計や靴も考えたけれど、これから新曲の制作やツアーの打ち合わせで、彼は自宅のリビングでも仕事モードになる時間が増えるはずだ。

外の世界で重い鎧を着て戦う彼が、この家でだけは一番リラックスできるように。

そう考えてハイブランドのブティックに足を運び、何着ものルームウェアの中から、シルエットと極上の手触りだけで勝負する究極の一着を選び抜いたのだ。

髪がふんわりと乾ききったところで、ドライヤーのスイッチを切る。

ふっと静寂が訪れたリビング。

私はそっと彼のリラックスした広い背中に身を寄せ、横から首に腕を回して、ぎゅっと抱きついた。

< 300 / 638 >

この作品をシェア

pagetop