アンコールはリビングで
鍛え上げられた広い肩と引き締まった腹筋が露わになり、思わずドキリとするのも束の間、彼はすぐさま新しい黒のスウェットに袖を通した。

透き通るような肌に、洗練された深い黒が恐ろしいほどよく似合っている。
ダボつきすぎない絶妙なオーバーサイズが、彼特有の色気をさらに引き立てていた。

「……うん、すげぇ着心地いい。肌に吸い付くみたいだ。サイズも完璧。……サンキュ、凪」

彼が心底満足そうに笑ってくれたので、私はほっと胸を撫で下ろした。

私はソファの上に置かれていたお役御免のグレーのスウェットを手に取り、優しく畳みながら彼を見た。

「よかった。……じゃあ、こっちのグレーの方はもう、いいかな? 新しい方の居場所、クローゼットに作らなきゃいけないし」

私が、彼との思い出の品を手放すことに少しだけ寂しさを滲ませながら優しく尋ねた、その瞬間だった。

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