アンコールはリビングで

21 甘い夜の底、5年目の朝

1. 5年目の光、プラチナの温度

カーテンの隙間から、柔らかい土曜日の朝の光が差し込んでいる。

静寂に包まれた寝室。聞こえるのは、規則正しい彼の寝息と、シーツが微かに擦れる音だけだ。
ゆっくりと重い瞼を開けると、すぐ目の前に、整った彼の寝顔があった。

むき出しの広い肩と、私をきつく抱きしめたままの長い腕。
昨夜の甘く激しかった熱の余韻が、二人の素肌の間にまだほんのりと残っている。

(……朝、か)

体を動かそうとすると、腰から下にかけて心地よい気怠さと、芯がとろけてしまったような甘い痺れが走った。
恥ずかしいくらいに、彼に愛された証拠だ。

彼を起こさないように、そっとその広い胸板を見つめる。
どんなに疲れていても、どんなに重圧を抱えていても、彼は私を手放さなかった。

そして私も、この先何があってもこの腕の中から離れるつもりはない。

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