アンコールはリビングで
「……ん」

私の微かな寝返りの気配で、彼がゆっくりと琥珀色の目を開けた。
眠たげな瞳が私を映し、ふわりと甘く細められる。

「……ん……おはよ、凪」

「……おはよう、湊」

少し掠れた、色気のある低い声。
湊は私の額にかかった前髪を優しく払い、そのまま私の唇に、触れるだけの甘いキスを落とした。

私を抱きしめる彼の手首と、彼に回した私の手首。
二つのプラチナのバングルが、朝の光を反射して静かに、けれど確かな存在感で光っている。

「……5年目も、よろしくな」

彼がもう一度深く抱き寄せてくれた腕の中で、私はこの上ない幸福感に包まれながら、その広い胸に頬を擦り寄せた。

「……うん。こちらこそ、よろしくね」

しばらくそうして微睡んでいたけれど、ふと、彼が少しだけ身を起こした。

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