アンコールはリビングで
2. ベッドの上の特権階級

しばらくすると、キッチンの方からコーヒー豆を挽くいい匂いと、食器の触れ合う音が聞こえてきた。

私がベッドの中で大人しく待っていると、寝室のドアが開き、大きな木製のトレイを持った湊が戻ってきた。

「ほら、ルームサービスのお届け」

湊がサイドテーブルにトレイを置いた瞬間、私は目を丸くした。

「わぁ……すごい!」

そこに乗っていたのは、いつもの健康的な「茶色い和食」ではなく、まるでカフェのメニューのように色鮮やかでお洒落なブランチだった。

お気に入りのベーカリーで買っておいたクロワッサンが綺麗に温め直され、その横には、真っ赤なイチゴとモッツァレラチーズ、生ハムをベビーリーフと合わせた色鮮やかなサラダ。そして、温かいコーンポタージュと、淹れたてのコーヒー。

「……湊、これ全部用意してくれたの?」

「切って盛っただけだけどな。記念日明けの朝くらい、こういうのもいいだろ?」

湊はベッドの縁に腰掛け、コーヒーのマグカップを私に手渡してくれた。
温かいマグカップを両手で包み込むと、コーヒーの香ばしい匂いが鼻をくすぐる。

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