アンコールはリビングで
二人でサイドテーブルを囲むようにして、ベッドの上で向かい合った。

「いただきます。……ふふ、なんだか海外のホテルに泊まってるみたいだね」

私がサクサクのクロワッサンを齧りながら笑顔を向けると、サラダの生ハムを口に運んでいた湊が、ふと目を細めて艶っぽい笑みを浮かべた。

「……フランスのカップルはさ、休みの日、こうやってベッドでメシ食って、一日中一歩もベッドから出ねぇらしいぜ?」

「……えっ?」

「メシ食って、いちゃついて、寝て。また起きて、いちゃついて。……最高だと思わねぇ?」

「なっ……!」

コーヒーを吹き出しそうになり、私はむせてしまった。

「ちょ、湊っ……! 何言ってるの、今日はもう……っ」

「冗談だって。凪、本当に顔真っ赤になりやすすぎ」

湊は声を上げて笑い、私の唇の端についたクロワッサンの欠片を指ですくい取ると、そのまま自分の口へと運んだ。

その一連の動作がとてつもなく自然で色っぽくて、私の胸の奥がカッと熱を帯びて騒がしくなる。

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