アンコールはリビングで
「……まぁ、さっきのフランスのカップルの話は冗談半分だけど」

湊がカップを置き、改めて私の方へと向き直る。
琥珀色の瞳が、陽だまりの中で優しく、そして熱っぽく揺れていた。

「……でも、今日くらいはこのままずっと、俺に独り占めさせてくれてもいいだろ?」

少しだけ上目遣いで、甘えるように私を見つめてくる眼差し。

その手首でキラリと光るプラチナのバングルが、彼が私のものであることを証明している。

「……うん。今日は一日、ベッドでゆっくりしよっか」

私が観念したように微笑むと、湊は心底満足そうな、世界で一番甘い笑顔を向けた。

休日の穏やかな陽だまりの中、コーヒーの香りと二人の笑い声が、4年分の思い出と共に寝室に溶けていく。

彼と過ごす5年目の日々も、きっとこんな風に、たくさんの愛おしい瞬間に満ちているに違いない。
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