アンコールはリビングで
「社会人の忙しい日々の中、あれだけ頻繁に会い、食事を共にして、時には深夜まで電話も繋ぎっぱなしにして……。もはや俺たちは、その辺の付き合い立ての恋人以上に、付き合う前から相互理解を深めていたんですよ!」

「うっ……ま、まぁ、確かに頻度は高かったけど……」

「さらに、期間についてもです。知り合っていた期間にしても、あの非常階段での出来事から、すでに一年半近く。もっと言えば、一昨年の4月のガレリアプラザでの初打ち合わせからと考えると、もうすぐ2年になります」

早瀬くんは真剣な顔つきで、まるで都市開発のプレゼンのように熱弁を振るう。

「そんなわけで、俺たちの『恋人歴』こそまだ浅いですが、お互いの人となりや生活リズムを検証するには十分な期間と頻度があったことになります。つまり、トライアル期間はすでに終了しており、本契約――つまり同棲に移行しても何ら問題はないという結論に至りました」

(……早っ! 喋るの早っ!)

私は、目の前で完璧なビジネス敬語を操る年下彼氏に、ただただ目を白黒させるしかなかった。

検証とか本契約とか、甘い雰囲気はゼロだ。

けれど、彼の言っていることは(悔しいことに)妙に筋が通っている気がしてくるから不思議だ。

< 321 / 676 >

この作品をシェア

pagetop