アンコールはリビングで
3. 氷の王子の仮面の裏側

理路整然と「コスト」や「リスク」、そして「検証結果」を語り続ける早瀬くん。

デベロッパーとして優秀すぎる彼のプレゼン能力が、今、全力で個人的な欲望のために使われている。

けれど。

私はふと気づいてしまった。

「……したがって、セキュリティと利便性を兼ね備えた物件への早期移行が、プロジェクト成功の鍵であり……」

流暢に喋り続ける彼の手元。

膝の上に置かれた拳が、ぎゅっと強く握りしめられ、わずかに震えていることに。

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