アンコールはリビングで
4. 盤石の布石の、その先へ

「今日はお休みの日にわざわざ来てくれてありがとうね。湊くんも忙しいと思うけど、身体に気をつけて」

「湊くん、今日は私の長話に付き合ってくれてありがとう。息子ができたみたいで嬉しかったよ。またぜひ、音楽の話もしよう」

帰り際、玄関先まで見送ってくれた両親は、名残惜しそうに早瀬くんに声をかけた。

早瀬くんは深々と頭を下げ、いつもの爽やかな好青年の顔(でも、来る時よりずっと自然な笑顔)で応える。

「こちらこそ、本当に楽しい時間をありがとうございました。……凪さんを、必ず幸せにします。また近いうちに、顔を出させていただきます」

その言葉に嘘がないことを、私は誰よりも知っていた。

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