アンコールはリビングで
「ちょっとだけ、弾いてもいいですか?」
彼が手に取ったのは、数ある荷物の中で一番最初に大切に運び込んでいた、愛用のヴィンテージのアコースティックギターだった。
彼はソファに座り直し、長い脚を組んでギターを抱える。
ポロロン、と。
試し弾きのように鳴らされた、柔らかくて温かいコードの響き。
「……今日から、よろしくお願いしますっていう、景気付けに」
彼がふっと微笑み、ゆっくりと目を閉じて、静かに歌い始めた。
『I see the crystal raindrops fall
And the beauty of it all
Is when the sun comes shining through……』
(クリスタルのような雨粒が落ちるのを見て、そのすべての美しさは、太陽の光が差し込む時……)
(……あっ)
その曲のイントロと歌い出しを聴いた瞬間、私は息を呑んだ。
グローヴァー・ワシントン・ジュニアの、超名曲。
『Just the Two of Us』。
英語の歌詞を紡ぐ彼の声は、普段の爽やかな話し声からは想像もつかないほど、低くて、少しハスキーで、気怠げな色気を帯びていた。
彼が手に取ったのは、数ある荷物の中で一番最初に大切に運び込んでいた、愛用のヴィンテージのアコースティックギターだった。
彼はソファに座り直し、長い脚を組んでギターを抱える。
ポロロン、と。
試し弾きのように鳴らされた、柔らかくて温かいコードの響き。
「……今日から、よろしくお願いしますっていう、景気付けに」
彼がふっと微笑み、ゆっくりと目を閉じて、静かに歌い始めた。
『I see the crystal raindrops fall
And the beauty of it all
Is when the sun comes shining through……』
(クリスタルのような雨粒が落ちるのを見て、そのすべての美しさは、太陽の光が差し込む時……)
(……あっ)
その曲のイントロと歌い出しを聴いた瞬間、私は息を呑んだ。
グローヴァー・ワシントン・ジュニアの、超名曲。
『Just the Two of Us』。
英語の歌詞を紡ぐ彼の声は、普段の爽やかな話し声からは想像もつかないほど、低くて、少しハスキーで、気怠げな色気を帯びていた。