アンコールはリビングで

22 光の軌跡と、孤独の影

1. 枯渇する充電

4月上旬。
新年度を迎え、街を行き交う人々の足取りがどこか浮き足立っている春の夜。

私は一人、静まり返ったリビングのソファで膝を抱えていた。
ダイニングテーブルの上には、ラップをかけた夕食がぽつんと置かれている。

胃腸が弱っている時でも消化が良く、疲労回復に必要なタンパク質とビタミンが摂れるようにと作った、鶏手羽元と生姜のサムゲタン風スープ。
それに、彩りの良い温野菜のサラダ。

いつもなら「うまそう」と目を輝かせてくれるはずの人は、今日もまだ帰ってこない。

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