アンコールはリビングで
「お疲れ様……湊、大丈夫……? すごく顔色悪いよ」

私が心配して近づくと、湊は靴を脱ぐなり、ふらつくような足取りで私の方へ倒れ込んできた。

「わっ……」

長い腕が私の背中に回り、彼の重い体重がドサリと私にのしかかる。

いつものような甘い雰囲気や、余裕のある色気は一切ない。ただ、立っているのもしんどくて、命綱に縋り付くような、切実で弱々しいハグだった。

「……悪ぃ。ちょっとだけ、このまま」

首筋に顔を埋めた彼から、低く掠れた声が漏れる。
微かに震える広い背中を、私はただ無言で、優しくトントンと叩き続けた。

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