アンコールはリビングで
2. ぽやぽやな大型犬

「っ、ご、ごめん、起こしちゃった……? 気分はどう? 水、飲む?」

「……んーん」

私が慌てて涙を拭おうとすると、それよりも早く、湊の熱い大きな手が私の頬に伸びてきた。

親指の腹で、目尻に滲んだ涙を不器用に、けれどひどく優しく拭ってくれる。

熱のせいで完全に理性が飛んでしまっているのか、彼の顔にはいつもの「俺様な年下彼氏」の余裕も、外の世界で見せる「完璧なスター」の仮面も、一切なかった。

ただの、無防備で甘えん坊な、大きな男の子の顔。

「……凪の匂い、する」

「えっ?」

「……ここ、来て」

言うが早いか、湊は私の腕をぐいっと引き寄せ、そのまま自分の寝ているベッドの上へと私を引きずり込んだ。

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