アンコールはリビングで
「変なことなんて言ってないよ。『どっか行くな』って、私の服ぎゅって握ってたくらい」

「……っ、マジで忘れて、それ」

耳の先まで赤くしてそっぽを向く彼がおかしくて、私はさらに笑い声をこぼした。

「でもね、本当に安心したんだよ。湊が、ちゃんと私を頼ってくれて。限界ギリギリでも、倒れる前に帰ってきてくれて。……すごく、嬉しかった」

私が真剣なトーンでそう伝えると、湊の動きがピタリと止まった。

彼はゆっくりと視線を私に戻し、琥珀色の瞳で私の顔をじっと見つめ返してくる。

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