アンコールはリビングで

Special track 6 生まれ変わるための儀式

1. 絶望の底と、気付きの涙

「……っ、なぎ……! 凪っ……!!」

次に気がついた時、私の視界に真っ先に飛び込んできたのは、見知らぬ白い天井と、ひどく狼狽した湊の顔だった。

ツンとした消毒液の匂いが鼻を突き、自分の腕に冷たい点滴の針が繋がれていることに気づく。

どうやらここは、病院のベッドの上らしい。

「湊……? 私……」

「……っ、よかった……っ、本当に……っ」

私がひどく掠れた声を出した瞬間、ベッドの傍らにいた湊が、私の手を両手で包み込むように強く握りしめた。
その大きな手は、小刻みに、酷く震えていた。

顔を向けた彼の表情を見て、私はハッと息を呑んだ。

いつだって余裕たっぷりで、強気で、俺様な彼が。

顔面を真っ青に蒼白にさせ、目の下に濃いクマを作り、今にも泣き崩れそうな……見たこともないほど絶望に満ちた顔をして、私を見ていたのだ。

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