アンコールはリビングで
「……」
「……」

長い沈黙。
見つめられすぎて、だんだんと恥ずかしさが込み上げてくる。

彼と出会ってからずっと、私の髪は背中の真ん中あたりまであるロングヘアだった。

けれど今の私は、顎のラインで切り揃えられた、中学生の時以来の短いショートボブだ。

自分を切り売りするような、周りを悲しませる生き方、働き方と決別するための、心機一転の断髪式。

けれど、いざ切ってみると、彼の隣を歩くには少し子供っぽくなりすぎてしまったのではないかと、不安が押し寄せてくる。

「……あの、湊?」

「……っ」

私が声をかけると、湊はハッとしたようにパッと顔を逸らした。
よく見ると、彼の耳の先が真っ赤に染まっている。

「ず、ずいぶん切ったんだな……。いつもみたいに、毛先整えるくらいかと思ってたわ……」

「……私もこんなにバッサリ切るの、学生の時ぶりでさ。……へ、変かな……?」

ソワソワと落ち着かない気持ちで、恐る恐る、自然と上目遣いになって尋ねる。

すると湊は、勢いよくこちらに向き直り、少しだけ怒ったような、照れ隠しのような大きな声を出した。

< 425 / 628 >

この作品をシェア

pagetop