アンコールはリビングで
「ふふっ、あははっ! 何それ、湊、心配するとこそこ?」

「こっちは大真面目だっつの! 笑うな!」

怒りながらも、彼は愛おしそうに私の短い髪に指を絡め、そのままグッと私を力強く抱き寄せた。

病み上がりの私を壊れ物のように扱っていた1ヶ月間とは違う、力強くて、熱くて、いつもの『俺様』な独占欲がたっぷり混じったハグ。

「……マジで、誰にも見せたくない……」

私の首筋に深く顔を埋め、すりすりと甘えるように擦り寄ってくる湊。彼のサラサラとした髪が頬をくすぐる。

「もう、大袈裟なんだから」

「大袈裟じゃねぇの」

首元から響く低い声は、少しだけ震えていた。

私を抱きしめる彼の腕の力が、さらにギュッと強くなる。
まるで、もう二度とその手を離さないと確かめるように。

「……ほんとに、無事でよかった。……元気になってくれて、俺のところに帰ってきてくれて、ありがとな」

嫉妬や独占欲の奥底にある、彼のもっと深くて切実な安堵。

耳元で囁かれたその震える声に、私は彼の背中にしっかりと腕を回し返し、その温もりを全身で受け止めた。

「うん。……心配かけて、ごめんね。これからは、ちゃんと自分のことも湊のことも、一番に大事にするから」

窓から差し込む明るい日差しの中、私たちは久しぶりに、心の底からの安心と幸福感に包まれながら、いつまでも抱きしめ合っていた。

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