アンコールはリビングで
あれは今から一年ほど前。

二人でリビングのソファに座り、のんびりとテレビの旅番組を見ていた時のことだ。

画面に映し出されたのは、季節の花々を特集したコーナーで、広大な公園を埋め尽くすような巨大な『藤棚』が紹介されていた。

夜空を背景に、ライトアップされて妖艶に浮かび上がる無数の紫色の花房。この世のものとは思えないほどの幻想的な美しさに、俺も思わず目を奪われた。

『……わぁ、すごい綺麗……』

隣に座っていた凪が、テレビの画面を見つめながら、ほうっとため息をつくように呟いたのだ。

『これ……生で見てみたいな……』

そのたった一言を、俺は絶対に聞き逃さなかった。

すぐにスマホを取り出し、画面に映っていた『足利』『奇蹟の大藤』というワードを、誰にも見られない秘密のメモ帳アプリに打ち込んだのだ。

あの時はもう、藤の見頃には到底間に合わなかった。
だが、今回は違う。
4月下旬という今の時期は、まさにあの藤棚が満開を迎えるドンピシャのタイミングなのだ。

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