アンコールはリビングで
「……凪、起きたか?」

「……ん、湊……おはよ……」

ベッドに近づいてきた湊は、私の顔を見るなり、すべてを悟ったように小さく息を吐いた。

「……やっぱりな。昨日からやたら眠そうだったし、機嫌もなんかフワフワしてたから、そろそろかと思ってたわ」

彼はベッドの脇に座ると、手に持っていたマグカップをサイドテーブルにコトリと置いた。

ふわりと湯気が立ち上るそれは、私のお気に入りのノンカフェインのルイボスティー。

「ほら、起き上がれるか? 無理すんなよ」

大きな手が私の背中を支え、ゆっくりと体を起こしてくれる。

そして、彼がもう片方の手で私の下腹部にポンと置いたのは、電子レンジで温めるタイプのカイロだった。

「……あ、温かい……」

「チンして温めてきたから、とりあえずそれ当てとけ」

「……湊、なんで分かったの? 私、まだ一言も……」

私が目を丸くして尋ねると、湊は呆れたように私の鼻先を軽く摘んだ。

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