アンコールはリビングで
「……バカなこと言ってんじゃねぇよ」

少しだけ怒ったような、でもどこまでも甘い声。

「役立たず? ふざけんな。……凪は今、自分の身体の中で、すげぇ大仕事して戦ってんだろ。月に一回、こんなしんどい思いして、身体を保つための命懸けの戦いしてんのに、これ以上何しろって言うんだよ」

「……湊……っ」

「それにさ」

彼は私を抱きしめる腕の力を、ギュッと強めた。

「俺が、凪の世話したいんだよ。普段、俺の健康管理して、支えてくれてんのは誰だよ。……俺、凪が弱ってる時くらいしか、こんな風に大手を振って甘やかせねぇんだから……俺の自己満のために、もっと俺に依存しろ。なんでも言うこと聞いてやるから」

「……っ、ふふ……なにそれ。自己満って……」

「……本気だよ。……だから、謝るな。痛い時は痛いって言え。泣きたいなら泣け。俺が全部受け止めてやるから」

彼の言葉一つ一つが、薬よりもずっと優しく、私の身体と心の痛みを溶かしていく。

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