アンコールはリビングで
「……うん。……ありがとう、湊」

「ん。……少し、眠れそうか?」

「……湊が撫でてくれてたら、眠れる、かも……」

私が素直に甘えると、湊は背後で小さく息を呑み、喉の奥で「……っ、反則……」と低く唸るように呟いた。

そして、私を抱きしめる腕の力を少しだけ緩め、耳元にちゅっ、と微かなキスを落とした。
彼の熱い吐息が、鼓膜をくすぐる。

「……お安い御用だ。お姫様が目覚めるまで、ずっと撫でといてやるよ」

甘く、優しく囁いた後、彼はわざと私の耳たぶを軽く甘噛みし、ぞくっとするほど色気のある低い声で言葉を続けた。

「……でも、すっかり元気になったら、この数日我慢した分、たっぷりお返ししてもらうから。……覚悟しとけよ?」

「……っ、湊……」

痛みが引いてきたはずなのに、今度は別の意味で心臓がどきりと跳ねて、お腹の奥が熱くなる。

抗議しようとしたけれど、背中を包む圧倒的な安心感と、彼の規則正しいトントンのリズムに、私の意識はゆっくりと微睡みの中へ引きずり込まれていった。

この数日間だけは、私が彼の「特等席」を独り占めして、限界まで甘やかされる特別な日。

痛みの波が遠ざかっていくのを感じながら、私は彼の温かい匂いの中で、ゆっくりと深い眠りへと落ちていった。
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