アンコールはリビングで
高速道路に乗ると、静粛性の高い車内には、俺が選んだお気に入りのプレイリストが心地よい音量で流れる。
助手席の凪は、買ってきたコーヒーを飲みながら、窓の外を流れる景色を楽しそうに眺めていた。
「……なんか、こうやって二人で遠出するの、バレンタインぶりだね」
凪が、ふと嬉しそうな声で呟いた。
「そうだな。最近は俺も凪も、仕事ばっかで余裕なかったし。……寂しい思いさせて、ごめんな」
「ううん、そんなことないよ。湊が頑張ってるの、一番近くで見てたから。……でも、やっぱりこうして、湊を独り占めできるのは嬉しいな」
コーヒーのカップを両手で包み込みながら、少しだけ照れくさそうにはにかむその横顔が、たまらなく愛おしい。
運転中だというのに、思わず手を伸ばしてその頬に触れたくなる衝動を、ハンドルを強く握ることでなんとか抑え込んだ。
「……あんま可愛いこと言うと、旅館着く前に、どっか誰もいないとこに車停めて……全部食っちまうぞ」
俺がわざと低い声で囁くと、凪はビクッと肩を跳ねさせた。
「えっ、ちょっと、バカなこと言わないでよ!」
耳の先まで真っ赤にして怒る彼女を見て、俺は堪えきれずに声を出して笑った。
窓を少し開けると、東京の喧騒とは違う、少し冷たくて澄んだ風が車内に吹き込んでくる。
仕事に忙殺されていた日常から抜け出し、二人きりの特別な時間が、今まさに始まろうとしていた。
助手席の凪は、買ってきたコーヒーを飲みながら、窓の外を流れる景色を楽しそうに眺めていた。
「……なんか、こうやって二人で遠出するの、バレンタインぶりだね」
凪が、ふと嬉しそうな声で呟いた。
「そうだな。最近は俺も凪も、仕事ばっかで余裕なかったし。……寂しい思いさせて、ごめんな」
「ううん、そんなことないよ。湊が頑張ってるの、一番近くで見てたから。……でも、やっぱりこうして、湊を独り占めできるのは嬉しいな」
コーヒーのカップを両手で包み込みながら、少しだけ照れくさそうにはにかむその横顔が、たまらなく愛おしい。
運転中だというのに、思わず手を伸ばしてその頬に触れたくなる衝動を、ハンドルを強く握ることでなんとか抑え込んだ。
「……あんま可愛いこと言うと、旅館着く前に、どっか誰もいないとこに車停めて……全部食っちまうぞ」
俺がわざと低い声で囁くと、凪はビクッと肩を跳ねさせた。
「えっ、ちょっと、バカなこと言わないでよ!」
耳の先まで真っ赤にして怒る彼女を見て、俺は堪えきれずに声を出して笑った。
窓を少し開けると、東京の喧騒とは違う、少し冷たくて澄んだ風が車内に吹き込んでくる。
仕事に忙殺されていた日常から抜け出し、二人きりの特別な時間が、今まさに始まろうとしていた。