アンコールはリビングで
「それにしても、ここの景色、本当に綺麗……空気がすごく澄んでる気がする」

山の斜面を見上げながら、凪がほうっと感嘆の溜息を漏らした。

風に揺れる木々の緑と、その向こうに広がる青空。
その美しい景色に見惚れて、彼女がふわりと無防備な笑顔を見せた、その瞬間。

――カシャッ。

俺はすかさず、ポケットからスマホを取り出し、シャッターを切った。

「えっ!? 今、撮った!?」

「おう。ばっちり」

「ちょっと待って、絶対いま私、ぽかんって呆けた顔してたよ! 見せて!」

慌てて俺のスマホを覗き込もうとする凪。
俺はニヤリと笑い、スマホを持った右腕をヒョイと高く上に伸ばして躱した。

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