アンコールはリビングで
「この前の夜、限界超えて熱出した時。……もしあのまま俺が無理し続けて、また凪に去年の夏みたいな絶望を味わわせたらって思ったら、マジでゾッとした」

「湊……」

「だから……これからは、何気ない言葉でも全部拾って、俺が一つ残らず叶えてやる。……待たせてごめんな」

真っ直ぐに彼女の目を見てそう伝えると、凪の大きな瞳から、ぽろりと大粒の涙がこぼれ落ちた。

「……っ、湊の、ばか……っ」

「おいおい、なんで泣くんだよ」

「だって……湊の愛が、重たすぎるんだもん……っ。嬉しくて……っ」

彼女は俺のジャケットの胸元をギュッと掴み、顔を埋めて泣きじゃくり始めた。
周囲の人目なんて気にならないくらい、彼女の存在が愛おしくてたまらない。

俺はキャップのツバで彼女の顔を隠すようにしながら、その小さな背中を優しく撫で続けた。

満開の紫の奇蹟の下で。

俺たちは、言葉以上に確かなお互いの想いを、静かに、けれど強く確かめ合っていた。

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