アンコールはリビングで
俺たちが辿り着いたのは、古き良き日本の原風景が残る陶器の町、『益子』だった。

「わぁ……! 益子焼だ! 私、ずっと来てみたかったの!」

陶芸教室の看板を見た瞬間、凪はパァッと顔を輝かせて、弾むような声を出した。

(……よっしゃ。大正解)

俺は心の中で、密かに力強いガッツポーズをキメた。

凪は昔から、こういう『自分の手で何かを作る体験』が大好きだ。
彼女の好みを完全に把握し、ドンピシャで喜ばせることができた自分のリサーチ力と彼氏力に、俺は一人で噛み締めるように満足していた。

エプロンを借りて工房に入ると、土の匂いと、静かにろくろが回る音が迎えてくれた。

職人さんから簡単な説明を受け、さっそく二人並んで電動ろくろの前に座る。

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