アンコールはリビングで
「凪? おーい、凪! コーヒーこぼれるよ!?」
理紗の少し焦った声で、私はハッと我に返った。
「はっ! やば、お湯注ぎすぎてた……!」
「もー、週明けからぼーっとして大丈夫? 凪こそ、また無理しないでね。……そういえば、週末は彼氏と旅行だったんでしょー?」
慌ててドリップバッグを引き上げる私を、理紗がニヤニヤしながら肘で小突いてきた。
「あっ、うん。そう。楽しかったよ。前から見たかった立派な藤の花見てきたり、温泉入ったりね。後で理紗の席に、益子で買ってきたクッキー置いておくから、現場から帰ってきたら食べてよ」
「ほー……噂の俺様スパダリ彼氏と渋い旅行、めっちゃいいじゃん。ね、そろそろ彼氏の写真のひとつでも見せてくれても良いんじゃないのー? 私たち、入社してから十年来の仲でしょ!」
「そ、そうねー? 彼、極度の写真嫌いでさ……全然写真なくて……またの機会にね?」
私は冷や汗をかきながら、苦しい言い訳で誤魔化した。
まさか、相手が今をときめく国民的スター・早瀬湊だなんて言えるわけがない。
理紗の少し焦った声で、私はハッと我に返った。
「はっ! やば、お湯注ぎすぎてた……!」
「もー、週明けからぼーっとして大丈夫? 凪こそ、また無理しないでね。……そういえば、週末は彼氏と旅行だったんでしょー?」
慌ててドリップバッグを引き上げる私を、理紗がニヤニヤしながら肘で小突いてきた。
「あっ、うん。そう。楽しかったよ。前から見たかった立派な藤の花見てきたり、温泉入ったりね。後で理紗の席に、益子で買ってきたクッキー置いておくから、現場から帰ってきたら食べてよ」
「ほー……噂の俺様スパダリ彼氏と渋い旅行、めっちゃいいじゃん。ね、そろそろ彼氏の写真のひとつでも見せてくれても良いんじゃないのー? 私たち、入社してから十年来の仲でしょ!」
「そ、そうねー? 彼、極度の写真嫌いでさ……全然写真なくて……またの機会にね?」
私は冷や汗をかきながら、苦しい言い訳で誤魔化した。
まさか、相手が今をときめく国民的スター・早瀬湊だなんて言えるわけがない。