アンコールはリビングで
(……これ、たぶん、この前発熱してた時のだ……っ)

38度を超える高熱を隠し、フラフラの状態で挑んだだろうと思われる、あの撮影。
それがまさか、こんな奇跡的な一枚に仕上がっているなんて。

今年の年明け頃、この新曲をレコーディングしたばかりの深夜のリビングで、彼が私にだけサビのメロディを口ずさんで聴かせてくれた時の記憶がフラッシュバックする。

あの時、甘く切なく響いていたあのメロディと、この剥き出しの命の熱を感じさせる無防備なカットが、これ以上ないほど完璧にリンクしている。

な、な……今までの湊の作品に、こんな危うい雰囲気、絶対になかったのに……っ。
こんな色気出したら……世間もファンも、絶対に黙ってないよ……!

こんな無防備な顔で見つめられたら、心臓がいくつあっても足りない。
何年も一緒にいるのに、また底なし沼に引きずり込まれるように彼に惚れ直してしまう自分がいる。

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