アンコールはリビングで
けれど同時に、チクリと胸の奥が疼いた。

表舞台で表現者として魅せる「アーティスト・早瀬湊」と、家で私にだけ甘えてくる「湊」が違うことは、頭では十分に分かっている。

それでも、この剥き出しの色気を世界中の人が見て、彼に熱狂するのだと想像すると……ほんの少しだけ、誰にも見せたくないという独占欲と嫉妬が顔を出してしまう。

(……だめだめ。世界で一番の古参ファンであり、最大のサポーターを自称する者として、そんな心の狭いこと言ってちゃ失格だ)

彼が身を削って作り上げた作品なのだから、一番近くにいる私が誰よりも全力で肯定して、応援しなくてどうする。

ブルッと首を横に振って心の葛藤を振り払っていると、完全にフリーズしていた私のスマホが、ブルッと震えた。

湊からの、追撃のメッセージだ。

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