アンコールはリビングで
「……ほ、ほら、座ってて! すぐできるから!」

「へいへい…照れんなって」

彼がようやく離れ、ダイニングテーブルにつく。

私は乱れた呼吸を整えながら、さいの目に切った豆腐と、たっぷりのきのこを鍋に投入し、味噌を溶き入れた。
完璧だ。これぞ日本の朝食。

「……よし。できたよ」

お椀と、湯気の立つご飯、そして昨日の残りのひじきの煮物をテーブルに並べる。

「……また茶色いな」

湊がテーブルを見渡し、やれやれと言いたげに眉を寄せた。

「なんかこう、ベーコンエッグとかさぁ、パンケーキとかさぁ、そういう『映える』もん食いたくねぇ?」

「だーめ。湊、昨日ロケ弁で揚げ物食べたって言ってたでしょ? 胃が疲れてるんだから、こういうのが一番いいの」

「ちぇっ。……俺はジャンクなもんが食いてぇんだよ」

「文句言わない。腸内環境整えないと、今度のツアー持たないよ?」

「……はいはい。分かりましたよ、健康オタク様」

彼はふてぶてしく言い返しながらも、大人しく箸を持った。
この「口では反抗するけど、結局私の言うことを聞く」ところが、年下彼氏の可愛いところだ。

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