アンコールはリビングで
(……境界線が、溶け出して……か)

頭の中が熱でぼんやりとする中、俺は『Melt』の歌詞を思い浮かべていた。

すでに撮り終えたミュージックビデオでは、水と光の反射だけで『溶け合う感覚』を表現した。

マイクスタンドにもたれかかり、重低音のビートに合わせて首筋から指先までを滑らかに動かすボディウェーブ。

6月のツアーでも、この曲をライブ後半の頭、衣装チェンジ直後の勝負曲として叩きつけるつもりだ。
客席の悲鳴と熱狂を掻っ攫うために、ギリギリまで振り入れと演出を練り直している。

俺の頭の中は今、熱と、音楽と、そして凪への想いで、ドロドロに溶け合って混ざり合っていた。

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