アンコールはリビングで
「それに、5月頭……絶対ツアーの準備で死にかけてる時期だから、俺へのご褒美の予定、入れときたくて」

甘えるように私の肩に頭を預けてくる湊。
私が同窓会に行くのを嫌がるどころか、その後の『特別なお忍びデート』を提案してくれるなんて。

元彼の存在なんて欠片も気にしていないような、圧倒的な自信と大人の余裕。そして、私を喜ばせようとしてくれる彼なりの最高のエスコートに、私の胸は甘く跳ねた。

「……うん! 行く! 待ち合わせなんて久しぶり……!なんかドキドキするね」

「ん。俺も。楽しみにしてるわ」

湊が私の額にチュッとキスを落とし、優しく微笑む。

その時の私は、この「余裕たっぷりの彼氏」の仮面の下で、密かにドス黒い独占欲が渦を巻き始めていたことなんて、知る由もなかったのだ。

< 519 / 773 >

この作品をシェア

pagetop