アンコールはリビングで
(……なんで俺、3月の時あんな余裕ぶって『終わったら迎えに行くわ』なんて言っちまったんだ)

心の中で、激しく舌打ちをする。

あの時の俺は、どうかしていた。
記念日も終わり、この怒涛のツアー準備前で多少余裕があったせいか、凪と少しでも長く夜のデートを満喫したいという欲が勝り、つい『物分かりのいい大人の男』を気取ってしまったのだ。

だが、いざ凪が俺のいない場所――しかも、昔の男がいる同窓会という場に、あんな最高に綺麗な姿で行ってしまったという事実が、後から後から俺の首を真綿で絞めつけてくる。

(……今頃、どうしてんだ。酒飲んでんのか。……誰の隣に座ってんだよ)

(まさか、凪が言ってた元彼が隣にいるわけじゃねぇだろうな。……凪に気安く話しかけてたら、マジでぶっ殺す)

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