アンコールはリビングで
早く会いたい。
早くあの細い腰を抱き寄せて、俺の腕の中にすっぽりと閉じ込めて、誰の目にも触れない場所に連れ去りたい。

頭の中は、完全に凪への執着で埋め尽くされていた。

「……ん?」

交差点の少し手前。
街灯の下に、見慣れたネイビーのレースのシルエットを見つけた。

俺の心臓が、歓喜で大きく跳ねる。

「……凪」

俺は小さく手を振ろうとして――その手を、空中でピタリと止めた。

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