アンコールはリビングで
「っ……!? みな、と……!?」

驚いて目を見張る凪の肩を、俺は大袈裟なほど強く、強引に自分の胸元へと抱き寄せた。

そのまま、隣で固まっている男の存在など微塵も視界に入っていないという素振りで、マスクを顎までずらし、凪の額に深く、音を立てて口付ける。

「わりぃ、待たせたな。……迎えに来た」

「っ……! こ、ここ外だよ……っ」

顔を真っ赤にして俺の胸にすがりつく凪。
その圧倒的な「俺の女」感を見せつけられ、男は気まずそうに、けれど少し苛立ったように舌打ちをした。

男は俺の顔をろくに見ようともせず、興味を失ったように凪からスッと距離を置いた。

目深に被ったキャップのせいで、目の前にいるのが早瀬湊だとは微塵も気づいていないようだ。

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