アンコールはリビングで
「……なんだよ、彼氏様登場かよ。白けるわー。はー……もう、さゆりちゃんでも誘いに行こ……」

捨て台詞を吐き、男が完全に背を向けて歩き出そうとした瞬間。

俺は凪の肩を抱いたまま、振り返りもせずに、低く、氷のように冷たい声で言い放った。

「……次、凪に気安く触ったら」

男の足が、ビクッと止まる。

「あんたのその腕、社会的に二度と使えなくしてやるから。……じゃあな」

殺気すら孕んだ、笑い声の混じったその低い声に、男は青ざめた顔で振り返ることすらできず、逃げるように夜の街へと走り去っていった。

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