アンコールはリビングで
2. 濡れ髪の破壊力と、画面越しの熱狂

しばらくして、バスルームから聞こえていたシャワーの音が止んだ。もうすぐ彼が上がってくる。

「……あつっ!」

考え事をしていたせいで、熱したフライパンの縁に少し指が触れてしまった。

カチャン、とフライパンを置いた音に反応して、脱衣所のドアが勢いよく開く。

「凪! 大丈夫か!?」

飛んできたのは、シャワー上がりの湊だった。
肩にバスタオルをかけ、黒のTシャツを着ただけの無防備な姿。

洗いざらしの短い髪が水気を帯びて色気のある艶を放ち、束感を作って額にかかっている。
水滴が、露わになった首筋を伝って鎖骨へと落ちていく。

「……っ!!」

心配して覗き込んでくる彼の色気にあてられ、私は完全にキャパオーバーを起こし、反射的に彼をドンッ!と両手で突き飛ばしてしまった。

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