アンコールはリビングで
「……っ、痛ぇ」

「あ……! ご、ごめん湊! 痛かった!?」

「……別に。それより……」

彼は眉を寄せ、捨てられた大型犬のような、あからさまに拗ねた目をした。

「……なんだよ。そんなに俺の短髪、嫌だった? 触られるのも嫌なくらいか?」

「ち、ちがうよ!!」

私は慌てて全否定した。

「髪型は、さっきも言ったけど、本当にかっこいいよ! 湊が急に来てくれて、びっくりしただけだから!」

必死で平常心を保ち、精一杯の笑顔を作る。

私の言葉に、湊はようやくホッとしたように表情を緩ませ、「そっか。よかった」と私の髪にチュッとキスをした。

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