アンコールはリビングで
3. 彼女の「推し」と、俺様の決断

「おかえり、湊。お疲れ様」

「おう、ただいま」

夜。自宅のマンションに帰ると、少し厚手の部屋着を着た凪が温かい笑顔で出迎えてくれた。

最近は仕事を持ち帰ることも多く、目の下には少し疲労の色が滲んでいるが、それでも俺に向ける笑顔だけはいつも柔らかくて優しい。

リビングのソファに腰を下ろし、バッグから適当に荷物を出していると、コトン、とテーブルに1冊の台本が落ちた。

「コーヒー淹れたよ。……あれ? 湊、それ……」

マグカップを2つ持ってやってきた凪が、テーブルの上の台本を見て、ピタリと動きを止めた。

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