アンコールはリビングで
「ん? ああ、今日島崎さんに押し付けられたドラマの台本。……23時枠のラブストーリーらしいんだけど、俺、演技なんてする気ねぇし、明日断るつもり――」

「えっ……! 嘘っ、これ、『微熱とアンビバレンス』の実写化の台本!?」

俺の言葉を遮るように、凪が目を輝かせて台本に駆け寄った。
普段は落ち着いている彼女が、見たこともないようなテンションで身を乗り出している。

「微熱と……なんだって?」

「今、私がすっごくハマってる漫画なの! 30代の建築デザイナーの女性が主人公で、仕事と大人の恋愛で揺れ動くすっごくエモいお話で……! え、湊にオファーが来てるの!? 誰役!?」

「えーっと……なんか主人公の幼馴染で、行きつけのバーのマスターをやってる、『朔斗』とかいう役だった気がするけど」

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