アンコールはリビングで
「……っ」
私は思わず、持っていたマグカップを両手でギュッと握りしめた。
世間の人たちには、高尚で芸術的なコンセプトとして受け取られているだろう。
でも、私だけは知っている。彼が言う『魂の帰る場所』も、『鎧を脱ぎ捨てられる聖域』も。
全部、今私が座っている、このリビングのことなのだ。
(……テレビで、あんな真面目な顔して……っ)
顔がカッと熱くなるのを感じて、私はテレビ画面から視線を逸らした。
すると、隣に座っている『本物』の湊が、私の肩に腕を回しながらニヤニヤと見つめていた。
「……なに顔赤くしてんの、凪」
「あ、赤くなんてなってないよっ。ただ、テレビの湊、すごくかっこいいなあって思って見てただけで……」
「嘘つけ。絶対アルバムの話聞いて照れてただろ」
からかうように笑う湊は、テレビの中で落ち着いて大人びたオーラを放つ彼とはまるで別人の、等身大の29歳の青年の顔だった。
私は思わず、持っていたマグカップを両手でギュッと握りしめた。
世間の人たちには、高尚で芸術的なコンセプトとして受け取られているだろう。
でも、私だけは知っている。彼が言う『魂の帰る場所』も、『鎧を脱ぎ捨てられる聖域』も。
全部、今私が座っている、このリビングのことなのだ。
(……テレビで、あんな真面目な顔して……っ)
顔がカッと熱くなるのを感じて、私はテレビ画面から視線を逸らした。
すると、隣に座っている『本物』の湊が、私の肩に腕を回しながらニヤニヤと見つめていた。
「……なに顔赤くしてんの、凪」
「あ、赤くなんてなってないよっ。ただ、テレビの湊、すごくかっこいいなあって思って見てただけで……」
「嘘つけ。絶対アルバムの話聞いて照れてただろ」
からかうように笑う湊は、テレビの中で落ち着いて大人びたオーラを放つ彼とはまるで別人の、等身大の29歳の青年の顔だった。