アンコールはリビングで
「ふふっ。お兄さんたち、湊のこと本当に心配してるね。ツアーも楽しみにしてくれてる」

画面を見た凪が、嬉しそうにふわりと微笑んだ。
俺はスマホの画面を見つめたまま、自然と口角が上がるのを感じていた。

「……兄貴と姉貴は、俺がどれだけテレビに出ようが、ずっと扱いが変わらねぇんだよな」

「そこがいいんじゃない。湊にとって、変わらない『家族』のままでいてくれるんだから」

凪の言葉に、俺は小さく頷いた。

そうだ。
俺が『早瀬湊』というアーティストとして、ここまで来られたのは。
決して平坦ではなかった道を、折れずに歩き続けられたのは。

(……あの時、兄貴と姉貴が、俺の背中を押してくれたからだ)

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