アンコールはリビングで
2. 最強のスポンサーと、1番の指定席

「でも、音楽で食っていくって大変だろ? 金はあるのか?」

兄貴が、ふと長男らしい現実的な質問をしてくる。

「……まあ、白井不動産時代の貯金がしばらくあるから何とかなる。……最悪は、バイトでもすればいいだろ」

「ダメよそんなの!」

姉貴がバンッとテーブルを叩いて、ピシャリと言い放った。

「あんたはクリエイターなんだから、つまんないバイトなんかに時間使うんじゃないわよ!? 1曲でも多く書きなさい!」

法廷で異議を唱えるかのような鋭い剣幕に、俺は思わず肩をビクつかせる。

「金に困ったら言いなさいよ? こっちは腐るほど稼いでるんだから、私たちがスポンサーになってあげるわ」

弁護士の圧倒的な経済力を盾にしてドヤ顔を決める姉貴に、横で兄貴も「間違いない」と深く頷いている。

「いらねーよ。……でも、ライブのチケットはノルマで買わせるからな」

「「喜んで!!(即答)」」

俺が苦笑すると、2人は顔を見合わせて楽しそうに笑った。

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