アンコールはリビングで
「……おれ、……言ってきた」
「うん」
「……もう、実家には戻らねぇって。……あのスーツも、置いてきた……っ」
俺の掠れた声に、凪は驚くこともなく、ただ俺の背中にそっと両腕を回してくれた。
「うん、うん。……頑張ったね」
凪の小さな手が、俺の広い背中を優しく、トントンと一定のリズムで叩く。
その規則正しいリズムが、遠い昔、俺がまだ子どもだった頃に母さんにされた子守唄みたいで。
張り詰めていたダムが、完全に決壊した。
「……凪ぃ……っ」
「よしよし、おかえり、湊」
俺の口から、自分でも驚くほど情けない、震えた声が漏れた。
俺は彼女の首筋に顔を深く埋め、逃げ場を探す子どものように、さらに強くしがみついた。
鼻の奥がツンとして、視界が歪む。
怖かったわけじゃない。
自分の決断に後悔なんて微塵もない。
ただ、張り詰めていた気が一気に抜けて、言葉にできないほどの安堵の波が押し寄せてきて、感情の制御がまったく効かなくなってしまったのだ。
「うん」
「……もう、実家には戻らねぇって。……あのスーツも、置いてきた……っ」
俺の掠れた声に、凪は驚くこともなく、ただ俺の背中にそっと両腕を回してくれた。
「うん、うん。……頑張ったね」
凪の小さな手が、俺の広い背中を優しく、トントンと一定のリズムで叩く。
その規則正しいリズムが、遠い昔、俺がまだ子どもだった頃に母さんにされた子守唄みたいで。
張り詰めていたダムが、完全に決壊した。
「……凪ぃ……っ」
「よしよし、おかえり、湊」
俺の口から、自分でも驚くほど情けない、震えた声が漏れた。
俺は彼女の首筋に顔を深く埋め、逃げ場を探す子どものように、さらに強くしがみついた。
鼻の奥がツンとして、視界が歪む。
怖かったわけじゃない。
自分の決断に後悔なんて微塵もない。
ただ、張り詰めていた気が一気に抜けて、言葉にできないほどの安堵の波が押し寄せてきて、感情の制御がまったく効かなくなってしまったのだ。