アンコールはリビングで
「……ああ。そうだな」

俺は彼女の細い手を取り、その掌に自分の頬をすり寄せた。

「……見てろよ。俺の歌で、絶対、すげぇ景色見せてやるから」

「うん。……湊なら、絶対大丈夫」

『湊』と、まだ少しだけ照れくさそうに俺の名前を呼ぶ彼女の顔が、ほんのりと赤く染まっている。

その恥じらうような、けれど真っ直ぐな愛情に満ちた瞳を見つめていると、俺の中でどうしようもないほどの愛おしさが爆発した。

俺は彼女の首に腕を回し、自分の顔へと引き寄せた。

「えっ……んっ……」

驚いて小さく開いた彼女の唇を、俺は自分の唇で深く塞いだ。

額への軽いキスなんかじゃない。
息もできないほどの、深く、長く、熱を帯びたキス。

「……んっ、みな、と……っ」

彼女が小さな吐息をこぼし、俺の胸元をきゅっと掴む。

温かなスープの匂いと、彼女自身の甘い匂いが混ざり合って、俺の理性をぐらぐらと揺さぶる。

触れるだけのキスでは到底足りなくて、俺は彼女の唇を割り、舌を絡めてその奥の甘さまで貪るように味わい尽くした。

「……っ、はぁっ、……」

ようやく唇を離すと、凪は顔を真っ赤にして、潤んだ瞳で俺を見下ろしていた。
呼吸が荒くなり、肩が上下に揺れている。

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