アンコールはリビングで
「1曲目の『Dawn』。あれは夜明けのギターインストだけど、俺が一人で迎えていた、静かで孤独な朝のルーティンの音」

湊はそう言うと、当時の孤独を思い出すように少しだけ視線を落とした。
けれど、すぐに私の肩を抱き寄せる腕にぎゅっと温かい力を込める。

「そこから2曲目の『軌跡』、4曲目の『無垢』で、俺がどうやって音楽と誠実に向き合ってきたかを辿って……」

「……うん」

彼の言葉を一つも零さないように、私が小さく相槌を打つと。

「そして、7曲目の『Resonance』。……これはもう、分かるだろ?」

湊が少しだけ身を屈め、下から私の顔を覗き込んでくる。
至近距離で合う視線に、ドクン、と心臓が大きく跳ねた。

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