アンコールはリビングで
『僕にとっての「聖域」であるだけでなく、聴いてくださる皆さんの心の中にある、誰にも侵されない不可侵の「聖域」を想って、聴いていただきたいです』

カメラの向こうで語る彼には、もう微塵の孤独もない。

彼が帰る場所には、あの陽だまりのように温かくて、彼を全肯定して包み込んでくれる、最高の女性がいるのだから。


泉:『……本当によかったわね、湊』

澄兄:『ああ。凪ちゃんに出会えて、あいつは本当に救われたよ』


トーク画面に並んだ澄兄の短い言葉に、私は深く頷いた。
あの時、すべてを捨てて凪ちゃんの元へと走ったあの子の決断は、間違っていなかった。

彼女がいたからこそ、湊は今、こんなにも強く、美しく、自分の足でステージに立ち続けることができているのだ。

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