アンコールはリビングで
甘く、低く囁かれたその言葉に、私の理性は完全にショートした。
彼がゆっくりと私の顎をすくい上げ、画面の中のどんな彼よりも熱く、とろけるような深いキスを落としてくる。

今日一日の多忙さと、新曲が世に放たれた興奮。

そのアドレナリンがまだ彼の体内を激しく駆け巡っているのが、重なった唇の熱と、少し荒い呼吸からダイレクトに伝わってくる。

「……んっ、ぁ……」

いつもより強引で、深い口付け。
背中に回された大きな手が、私の身体を彼の方へと強く引き寄せる。

彼の中から溢れ出す『Melt』の妖艶な熱に当てられて、私自身の輪郭までもが彼の中にドロドロに溶かされていくような感覚に陥る。

「……わりぃ。まだ頭ん中ガンガン鳴ってて……」

唇の隙間からこぼれた、掠れた低い声。
彼がゆっくりと顔を離すと、その奥にある琥珀色の瞳は、普段の冷静さなど微塵もない、剥き出しの熱を帯びていた。

「……今夜、あんま優しくできねぇかも」

有無を言わさない、その熱っぽい声と瞳に、私はもう抵抗することなんてできず、ただ彼の首に腕を回してその熱情に応えた。

テレビから流れる『Melt』の艶やかな歌声が、2人だけの夜のリビングに甘く溶けていった。
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