アンコールはリビングで
「……マジで、最低だ……」

俺は両手で顔を覆い、深い自己嫌悪の海に沈み込んだ。
酒の勢いにかまけて、欲求を抑えきれないガキみたいにがっついてしまった自分が、ダサすぎて死にそうだった。

「……ん、……湊?」

その時、凪がゆっくりと目を覚まし、眠たげに目をこすりながらこちらを振り返った。

「……っ、あ、凪。……おはよ」

「……おはよう。……んっ、首、なんかヒリヒリする……」

凪が小さく顔をしかめて首筋を触るのを見て、俺の心臓がギュッと縮み上がった。

「……っ、ごめん! 凪、マジでごめん!!」

俺はベッドの上でガバッと土下座のような体勢になり、必死に頭を下げた。

「……昨日、曲ができて酒飲んだら、すげぇ酔って……。凪の寝顔見てたら、どうしても我慢できなくなって……っ。今日仕事なのに、本当に悪かった。ごめん……!」

ぽかんとする凪の前で、俺は耳の先まで真っ赤にして平謝りした。
そのあまりにも必死な姿に、凪は数秒間の沈黙の後、ぷっと吹き出してしまった。

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