アンコールはリビングで
「……湊、ありがとう。すごく嬉しい」

「……ん。俺も、こうして凪乗せて走ってると、すげぇ落ち着く」

車はレインボーブリッジへと差し掛かり、窓の外には、宝石箱をひっくり返したような東京湾の夜景がパノラマのように広がった。

息を呑むほど美しい景色。
エアコンの効いた車内は快適そのもの……のはずだった。

(……やばい。ほんとに、心臓もたない……)

美しい夜景が広がっているというのに、視線を運転席に向けることが、どうしてもできない。

私は助手席で、膝の上でギュッと手を握りしめ、ひたすら前だけを向いていた。

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